制作実績

パンフレット制作実績

特許庁

複雑な特許庁審判制度を親しみやすいデザインでパンフレットに

審判制度の煩雑な情報を
シンプルに解きほぐす

「知的財産」という言葉をご存知でしょうか? 知的財産とは、財産的な価値があるとされるアイデアや技術、意匠、創作物などのこと。知的財産を保護する権利「知的財産権」のうち、特許、実用新案、意匠、商標の4分野を所管するのが特許庁の役割です。近年、企業の国際競争力を上げる戦略として、知的財産権を活用した「知財戦略」が注目を集めており、特許庁も積極的に導入を働きかけています。

知財戦略の実践には、特許庁の審判制度を理解する必要がありますが、その仕組みは複雑にして難解。それが普及の妨げになっていました。審判制度を広く知ってもらい、知財戦略の普及促進のために制作されたのが、このパンフレットになります。制度にまつわる情報は膨大で、知識のない人にとってはそれだけでハードルが上がりがち。いかにして、煩雑な情報を解きほぐすかがカギになりました。クライアントからは積極的な提案を求められたため、情報の取捨選択や優先順位、掲載順序、さらには文字数の分量まで、おもな構成はこちらが主導になって進めました。見た目のデザインだけではなく、情報設計としてのデザインも手がけることになったわけです。ただ、誰でも理解できるシンプルさを突きつめるのも重要ではありますが、特許庁のもつ厳かな雰囲気も残しておきたいところ。「平易」かつ「威厳」を感じさせるパンフレットデザインを心がけました。

審判制度の機能や価値を
昇華させたロゴデザイン

まず着手したのが、審判部のロゴマークのデザインです。デザインのコンセプトは「公平性や独立性が感じられ、審判部・審判制度に対する信頼感」を表現すること。審判部の「審」の字をモチーフにしたもの、公平性の象徴となる「天秤」をあしらったものなど5案を提案させていただきました。選ばれたのは、審判部・審判制度がもつ特性やパーソナリティ(情緒的価値)を凝縮したロゴ。「天秤」「虫眼鏡」「人物の横顔」「円の枠」のデザインでロゴは構成されており、それぞれの意匠に「紛争の早期解決」「職権審理」「知的財産権の守護者」「不可侵性・神聖性」のメッセージを込めています。パンフレットの作成にあたってイメージしたのは、知識のない人でも理解できる「審判制度の入門書」。審判制度を司る審判部や審判制度の概要、活用のモデルケースなど、1ページに掲載する情報は最小限にとどめ、判りやすさを重視しています。たとえば「拒絶査定不服審判」のページなら、審査側・審判側の関係を図で表現して明瞭に。請求成立率などの数値データであれば、円グラフにまとめるなど、ひと目見て伝わるデザインを徹底しました。全体を通して、親しみやすいカラフルな配色になってはいますが、見出しに明朝体を用いるなどカッチリしたところも残しています。とくに工夫を凝らしたのが、冒頭にある「審判制度でできること」のチャートです。「権利を無効にしたい」「商標登録を取消したい」といった目的別にチャートを設けることで、読み手が求めている情報へとスムーズにに誘導できます。