お店、店主、にぎわい……、そのまち独自の魅力を凝縮したパンフレットデザイン

クライアントは、静岡県静岡市に拠点を置いている「創造舎」。住宅・医院・店舗などの建築設計を行うデザインオフィスです。地域活性化にも積極的で、地元にある人宿町に新たな施設を建て、さまざまなお店を誘致。「創造舎」を中心にして、まちに再びにぎわいが生まれようとしています。こうした人宿町での取り組みを広く知ってもらい、多くの人に足を運んでもらうために制作されたのが、こちらのパンフレットです。ガイドブックの体裁を取り入れており、新店舗紹介ページと既存店舗紹介ページの二部構成。グランドオープンの際のカンファレンスや周辺施設などで配布されるので、気軽に手にとってもらえるデザインを追求しました。

冊子のキーカラーは、赤色に設定しました。「創造舎」の手がけた建物に設置されている赤いコーポレートロゴと冊子のビジュアルをリンクさせ、まちのイメージ定着を促すためです。また、人宿町周辺に集まった新しいお店は、個人店が中心になります。個人店ならではの居心地の良さやお客さまとのゆるやかな距離感をパンフレットに表現するために、店主のイラストもあしらいました。

制作するにあたって重視したのは、“街感”を演出すること。今回取り上げる事例は、街並みがガラリと変わるほどの大々的な再開発ではありません。ひっそりとした通りの一角にお店が集まる、隠れ家的な雰囲気。それでいて、最初の1軒を楽しんだら、つい2軒、3軒とハシゴしたくなるような華やかな空気を醸しています。冊子は単なるお店を紹介するパンフレットではなく、こうしたまちの雰囲気を伝えることが重要だと考えました。そこで、店内写真や建物の外観写真を上手く組み合わせて、“街感”を醸成しています。

そのほか、パンフレットの随所に工夫を散りばめています。例えば、新店舗紹介ページはメイントピックなので、大きく取り扱い印象に残るビジュアルにしました。開店準備中のお店は、イラストや店主へのインタビューを通じて、わくわく感や期待感を抱かせる内容になっています。また、ガイドブックとして持ち歩いてほしいので、コンパクトなA5サイズを採用。店舗一覧ページを90度傾けると、A4サイズのマップとしても使えます。60軒以上のお店がマッピングされていますが、出店エリアごとに店名を色分けしているので、お店の所在地が直感的に把握できるパンフレットのデザインをご提案しました。