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書籍『問題解決ラボ 「あったらいいな」をかたちにする「ひらめき」の技術』

出典・参照
出版社: ダイヤモンド社 (2015/2/27)
言語: 日本語
ISBN-10: 4478028923
ISBN-13: 978-4478028926
発売日: 2015/2/27

前著『ウラからのぞけばオモテが見える』も素晴らしい内容でしたが、本書も「目から“何度も”鱗が落ちる」こと受け合いの示唆に富む内容です。数ページの短い文章で語られる様々なエピソードや実績の紹介が丸々一冊続く構成で、ちょっとした移動中や、休憩中の気分転換にガムやコーヒーを口にする感覚でスイスイ読むことができます。
実際に語られている内容は、「イマドキのあるべきデザイナー」であれば、いわば当たり前の思考プロセスだと思います。いまどき、ただデザインがカッコイイだけでは市場に通用しないというのは、どんな分野のデザイナーであっても重々承知のことですから、佐藤さんの制作アプローチに異論を感じる人は少ないでしょう。佐藤さんが違うのは、その説得力。問題を発見する能力、解決の方向性を定める能力の高さは言うまでもないのですが、私が読んで感じるのは、“アイデアの強さ”です。この種の実績紹介中心の本を読むと、語られている前提の把握や課題の設定がしっかりしていても、実際に出来上がった製品を見ると「はて、これは前提・課題を解決しているだろうか?」と思うことも少なくないのですが、佐藤さんの場合は、毎回の紹介実績にまさに膝を打つようなアイデアが込められているので、ページをめくりながらワクワクしてしょうがありません。そして、そのアイデアの根拠やその効果が非常に腑に落ちるものなので、実績を紹介された途端にパッと視界が開けるような爽快感を味わえます。

その意味で、この本は、どちらかというと実は「アイデア発想」のための本ではなく、むしろ「アイデアのプレゼンテーション」に役立つ本なのではないかと思います。なぜこういうアイデアを採用したのか、それによって得られる効果は何か、という説明が非常にクリアなので、「なるほどこれはイイ」と素直に感じることができる。これって、プレゼンを受けるクライアント側の理想的な気持ちなのではないかな、と思います。

“前に腕時計をデザインしたのですが、定規の目盛りをガラス面に直接印刷することで、「モノサシで長さを測る感覚で時間を計る」というコンセプトを実現しました。(p.166)” などの文章に表れているように、ゴールとアイデアがぴったり一致する気持ちよさをぜひ感じてみてください。おそらくこの時は「スマホなどのデジタルな時計では得られない“時間を測る”というアナログな体験性の強化」「時間を確認するためのものだけじゃなく“測る”行為にもっと意識を向けさせたい」などの、前提となる課題があって(あるいは腕時計にその課題を見出して)それに応えるかたちで上述のコンセプトを提案したのではないかと思われます。これって、完全にBtoBのコーポレートメディアでも同じく求められるプロセス共有型のプレゼン能力だな、と感じたのでした。

Article:『ウラからのぞけばオモテが見える』

Amazon:問題解決ラボ――「あったらいいな」をかたちにする「ひらめき」の技術

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